定年女子の日々・是好日

「定年」にはなりましたが、非常勤で働く「日」「日」です。

再び、「国宝」

ぼんじゅん


封切りからそろそろ、6か月

いまだに、休日はいっぱい

もう6か月になるのでネタバレごめんなさい。


原作を読んだ時

«国宝»はアイロニーだと思った。

喜久雄は自分が国宝に選ばれたことを知らない


映画はここでエンドロールになった

「きれいやなあ・・・」

の後・・・

渋滞した車列の間を縫うように喜久雄が羽織る討ち掛けの裾が流れて行きます。

今、喜久雄の目に映るのは、銀座のネオンか、

はたまた降りしきる吹雪の世界か。

その耳に聞こえるのは銀座の喧騒か鳴りやまぬ笛太鼓か。

信号の変わったスクランブル交差点に、

喜久雄がよろめきながら飛び出したのはそのときでありました。

歩道から悲鳴が上がり、同時に無数のクラクションが響きます。

突き刺さるような車のヘッドライトが、

阿古屋の顔を白く浮かび上がらせたその瞬間、

喜久雄はいつものように、

「はい」

と、小さく頷いて出の合図をしたのでございます。下花道篇p411


芥川龍之介の『地獄変』のように

地獄変の絵を描きたいとの執念に憑りつかれた絵物師良秀

娘を牛車に乗せて実物を見せてやるとの大殿のたくらみ


その火の柱を前にして、凝り固まったように立っている良秀はーー

何という不思議な事でございましょう。

あのさっきまで地獄の責苦に悩んでいたような良秀は、

今は云いようのない輝きを、さながら恍惚とした説法の輝きを、

皺だらけな満面に浮かべながら、大殿様の御前も忘れたのか、

両腕をしっかり胸に組んで、佇んでいるではございませんか。

それがどうもあの男の眼の中には、

娘の悶え死ぬ有様が映っていないようなのでございます。

唯、美しい火焔の色と、その中に苦しむ女人の姿とが、

限りなく心を悦ばせる -ーそういう景色にみえました。

・・・何故か人間とは思われない、夢に見る獅子王の怒りに似た、

怪しげな厳かさがございました。       「地獄変十九」


絵が完成した後、良秀は自死する。


「芸」に憑りつかれた人間の光と闇


『国宝』原作を読んだ時

「地獄変」のような芸術至上主義の小説だと思ったし、

そこに感動した。


映画の中にもあった「悪魔と取引した」という言葉

国宝、萬菊さんの孤独な最期に立ち会うことの意味


原作通りの結末に繋がる伏線だと思っていたが

国宝もらったことで、娘と和解?


闇の部分は描かれず

ひたすら美しい幕切れに多くの人は感動し

もう一度、観に足を運び

「国宝観た?」が流行語大賞にノミネートされた。


しかし、原作ファンには物足りない


三月頃の、番宣で確かにあった

舞に取り付かれ舞いながら路上飛び出し、

衣装のまま倒れているシーン


始めて、劇場で観た時

「きれいやなあ」の後、テロップが流れ出したので

その後にあのワンシーンが入るのかと思って待った

・・・

テロップだけで終わった時

えーっ???と思った


ディレクターズカット版望む!


しかし、映画は映画として

もう一回くらい観に行くかも。