定年女子の日々・是好日

「定年」にはなりましたが、非常勤で働く「日」「日」です。

「光る君へ」でた、古典の名場面

「宮へ初めてめて参りたるころ」
清少納言、
初めて参内する場面。


宮に初めて、参りたるころ、ものの恥づかしきことの数知らず、
涙も落ちぬべければ、


サマーウイカさんは、顔も上げられないほど臆して、
涙目になるという感じではまったくなかったが、


いと冷たきころなれば、さし出でさせ給へる御手のはつかに見ゆるが
いみじうにほひたる薄紅梅なるは、限りなくめでたしと、
見知らぬ里人心地には、かかる人こそは世におはしましけれと、
おどろかるるまでぞ、まもり参らする。枕草子第一七七段


とにかく「あわあわ」して
しかし、中宮定子の気品と美しさに圧倒され、一目ぼれ。
生涯、忠誠を尽くすことには間違いないようだ。


「弓争ひ」
「道長が家より帝・后立ち給ふべきものならば、この矢当たれ」
と仰せらるるに、同じものを中心に当たるものかは。
      一度目と同じように的のど真ん中に
      的が破れんばかりに当てた。
次に、師殿射給ふに、いみじう臆し給ひて、御手もわななく故にや、
的のあたりにだに近くよらず、無辺世界を射給へるに、
関白殿、色青くなりぬ。「大鏡」
      一方伊周は、びびってしまって、的のはじっこどころか、
      まったく違う方向を射たので、無理やり伊周を勝たせようとした、
      道隆はまっさおになった。


道長の豪胆さを称え、帥殿の小心を揶揄したような場面なのだが
このままやると、三浦翔平君ファンに怒られそうなので、
極めて控えめだった。
しかし、すっかり
ことさめにけり
しらけてしまったことには間違いないようだ。


「まちがえちゃった」 
ともかくも思ひわかれず、やをら起き出でて、
生絹なる単衣を一つ著て、すべり出でにけり。
・・・やうやう見あらはし給ひて、あさましく心やましけれど、

人違とたどりて見えむもをこがましく、あやし、と思ふべし、


如何はせむに思しなるも、わろき御心浅さなめりかし。源氏物語・空蝉


17歳の源氏は人妻、空蝉のところに忍んでみたが、
空蝉は衣だけを残して逃れてしまう。
後に残された軒端荻
「まちがえちゃった」けれども、関係をもっちゃった。
困った若き日の光る君。


道綱君は、そんな大胆なことしませんでしたが、
石山寺で「蜻蛉日記」の作者=道綱の母と語り合ったことの方が
まひろにとっては大きかったのでは。
「日記を書くことで、おのれの悲しみを救いました」道綱の母
書くことで救われ、
読むことで救われる。
千年も読み継がれた「源氏物語」の魅力。