定年女子の日々・是好日

「定年」にはなりましたが、非常勤で働く「日」「日」です。

「巡礼の年」ル・マル・デユ・ペイ

上半期の花組公演「巡礼の年」で印象的に使われていた
リストの「ル・マル・デユ・ペイ」(巡礼の年 第一年≪スイス≫から)


 

村上春樹の
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
でも、印象的に描かれていたことを思い出し、
曲と共に再読していた。


高校時代の男女の親友から大学時代に突然、
絶縁されたつくるは心に蓋をしたまま、生きてきたが
新しい恋人に促され、「心の蓋」を開ける巡礼の旅にでる。


旅の果につくるが「魂のいちばん底の部分で理解したこと」
p350人の心と人の心は調和だけで結び付いているのではない。
それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。
痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているのだ。


数年前読んだとき、結論のない結末、思わせぶりな結末がもどかしく不満だったが、
今度、読み返して、結論があってはいけないような気がした。


人生の「巡礼の旅」
その時の、自分にとって「よいこと」も「わるいこと」も
どちらであっても「旅」は続いてゆくのだから。