定年女子の日々・是好日

「定年」にはなりましたが、非常勤で働く「日」「日」です。

「百花」 読んでから観た


68歳。アルツハイマー型認知症。
年代的にとても気になる内容だ。
映画化のオビ付いていたけれど、まず読んでみた。


人は人との関係の中で自分を確かめる。
その1人、1人を忘れた時、自分は自分でなくなるのだろうか?
自分の人生に初めて関わってくれた「人」、母。


「失っていくということが大人になるということなのかもしれない」
しかし、母はその一つ一つを覚えていてくれる。
母が忘れていく、その一つ一つを息子は、取り戻してゆく。


一輪挿しの花、花。
動物ビスケット。
ピアノの一曲、一曲。
トロイメライ。
甘い卵焼き。
半分の花火。


映像になると、
記憶が混乱していくところ、
冷蔵庫に大量に残された卵を処分するところ。
震災の朝。
母の女としての日記を読んで嘔吐するところ。
リアルすぎて辛くなる。
しかし、活字で読んだだけでは分からなかった
「半分の花火」の意味が、映像で初めて分かった。


母の中に最期まで残ったものは、息子との再出発の記憶。
「半分の花火」


母の顔、女としての顔。すべて忘れ去った時の顔。
原田さんのそれぞれの表情がいい。
老いてゆく親と、親になろうとする自分。
その間で動揺する須田君がいい。


老いてゆく先のことを考えると不安にもなる。
でも、
今、できる「日」「日」のこと。
今、関われる「一人」「一人」とのことを
大切に積み重ねていこうと思った。


P.S
原田美枝子さん
好きだった作品
「家宅の人」緒形拳さんの はつらつとした愛人役。
     「さよなら」ときっぱり別れてゆく場面が印象的だった。
「眠りの森」(木村拓哉主演)アダルトチルドレンの真犯人(仲村トオル)の
     幻想の中の母親。セリフはないのに不気味な印象だけが残る
「折り梅」こちらは認知症の義母(吉行和子)を介護する嫁。
     心情がリアルに演じられた。
先の朝ドラ「ちむどんどん」のオーナー 
      年輪と経験を積んだ目尻のしわが魅力的だった。