定年女子の日々・是好日

「定年」にはなりましたが、非常勤で働く「日」「日」です。

読んでから観た「正欲」


映画化されるということで、
まだ、全面出演者の表紙になる前に、読んだ。



最近、よく言われる、
「多様性」とは?


「自分にはわからない。
想像もできないようなことがこの世界にはいっぱいある。」p443
多数派であることに安住し自分と言う個体について

考える機会に恵まれないのは、一つの不幸であるのかもしれないp409


「普通」とは?
より、多くの人がよしとする価値観?
そこから「ありえない」と自分が理解できないことを断罪することの暴力性。


どんなものを持ち合わせて生れてきたとしても、
自分はこの星で生きていていいんだと思いたい。p371


夏月(新垣結衣)は、逮捕されたパートナー(磯村優斗)に
「いなくならないから」
と伝えてほしいという・・・、
なぜ、妻と子どもがいなくなったのか、
理解できない寺井(稲垣吾郎)のホウケタ顔の前で
扉はしまる。


ひどく刺さった、痛い作品だった。
同じところを見つけて安心したがるけれど、
どんな人であっても
自分と今、目の前にいる「相手」は「違う」のだ。
ということを前提にしなければ、
繋がることはできないのではないだろうか。
自分とは「違う」相手とどう関わり、
どう、繋がるか。
これからの時代それが問われているような気がした。


この、神でも人間でもある自分と折り合い、
付き合えるようになること、これがすなわち「成熟」である。
                  解説:東畑開人