定年女子の日々・是好日

「定年」にはなりましたが、非常勤で働く「日」「日」です。

花組「うたかたの恋」:闇は広がる

今作はチケット1回しか取れなかったので
千秋楽は映画館で見た。
40年前ターコさん(麻美れい)の初演の時
何回か昔の大劇場に通った。
今の大劇場はセットも美術も衣装も素晴らしくなったが、
真紅の大階段でのプロローグから、舞踏会のシーンに入る展開には
昔も今もぞわっときた。
今回も大劇場で観た時は遠かったので
どうしてもターコさんや、春野寿美礼さんのまったり感と比べてしまって
ものたりなかったが、
千秋楽を映画館の大画面で観て、柚香さんの一つ一つの表情
苦悩と孤独
素晴らしいと思った。


宝塚は「うたかた」初演の後、「エリザベート」を経ているので、
今度の「うたかたの恋」でも皇后の扱いが変わっている。
柚香さんは「エリザベート」でもルドルフだったので、
トートに「死ねばいい」と言われ、銃声二発までの行間を観るような
「うたかたの恋」だが、恋よりも「ハプスブルクの闇」。
エリザベートもとりつかれた「死に至る病」を強く感じた。


勝手に連想は広がる
舞姫」「うたかたの記」「ふみづかい」は森鴎外のドイツ三部作とされるが
「うたかたの記」は ルードヴィヒ二世(「愛と孤独の果に ルードヴィヒⅡ世:00花
の水死の謎にも迫っている。
ルキノビスコンティの映画で、ロミーシュナイダー演じるエリザベート皇后に
ノイシュバンシュタイン城を大笑いされる
この王も「死に至る病」にとりつかれた人ではないだろうか。


配役からも勝手に、連想は広がる。
フエルデイナンドの妻となった身分違いの皇太子妃ゾフィーは
池田理代子先生の「オルフェウスの窓」で
イザークの妻となったロベルタが敬愛していたものの
サラエボ事件で暗殺され、ショックを受けるというシーンを思い出し、
ああ、あの人になるのかと思った。
「オルフェウスの窓」は今読み返すとすごい!
ドイツの混迷(fff)から、「ロマノフの闇」へと迫る。
(「黒い瞳」→「神々の土地 ロマノフたちの黄昏」→「アナスタシア」)
池田先生の筆力、壮大なスケールに今さらながら驚く。
思い通りにはならない人生の苦みも感じる名作だ。


受験科目が日本史だったし、
世界史は「ベルサイユのばら」の「フランス革命」で止まったままだったが、
この頃、世界史が面白い。近代史の闇は広がり、興味も広がる。
下線は宝塚で上演された作品)


こんな本↓ 買ってって自分の興味のある所から読み直しています。


自分の勝手な、興味関心を、掘って、掘って掘りまくる。
これも、定年してからの楽しみの一つです。