定年女子の日々・是好日

「定年」にはなりましたが、非常勤で働く「日」「日」です。

なにげに、京都御所

京都御所の近くの病院に25年くらい通っていた。

京都御所8月末 京都御所8月末

京都御所10月半ば

8月末 下立売御門あたり


30代半ば、職場の検診で
「どっちでもいいんですけど、受けますか」
の頃、たまたま好奇心で受けた胃の検査で 
胃粘膜下腫瘍というものがみつかり
それから、経過観察で2年に一回くらい胃カメラ呑みに通っていた。


それでも、だんだん育ってしまい2㎝に達するので
そろそろ、切除した方が、と言われたころ
クモ膜下出血で、入院、半年休職したので、
それどころではなくなってしまい
退職したら考えます。
ということになっていた。


で、退職したので、この夏、内視鏡と腹腔鏡の手術で1週間ほど入院。
ちょうど大文字送り火の日。
五階の病棟だったのでいくつか見られるかなと期待していたのだが、
手術の当日はやはり起き上がることもできず、
看護師さんがスマホで撮って見せてくれたのが本当に嬉しかった。


一週間ほどで退院した時、御所を散歩してみた。
検査で来た八月初めの、みんみんゼミがツクツクボウシに変わっていた。
御所のベンチで聞きながら、夏が終わるなあと思っていた。


それからひと月半、術後の診察でまた来た。
蝉の声はなく、緑は翳っている。
後ひと月すれば、すっかり紅葉し、京都は人でいっぱいになる。


紅葉直前の京都の緑樹が好きだ。

「百花」 読んでから観た


68歳。アルツハイマー型認知症。
年代的にとても気になる内容だ。
映画化のオビ付いていたけれど、まず読んでみた。


人は人との関係の中で自分を確かめる。
その1人、1人を忘れた時、自分は自分でなくなるのだろうか?
自分の人生に初めて関わってくれた「人」、母。


「失っていくということが大人になるということなのかもしれない」
しかし、母はその一つ一つを覚えていてくれる。
母が忘れていく、その一つ一つを息子は、取り戻してゆく。


一輪挿しの花、花。
動物ビスケット。
ピアノの一曲、一曲。
トロイメライ。
甘い卵焼き。
半分の花火。


映像になると、
記憶が混乱していくところ、
冷蔵庫に大量に残された卵を処分するところ。
震災の朝。
母の女としての日記を読んで嘔吐するところ。
リアルすぎて辛くなる。
しかし、活字で読んだだけでは分からなかった
「半分の花火」の意味が、映像で初めて分かった。


母の中に最期まで残ったものは、息子との再出発の記憶。
「半分の花火」


母の顔、女としての顔。すべて忘れ去った時の顔。
原田さんのそれぞれの表情がいい。
老いてゆく親と、親になろうとする自分。
その間で動揺する須田君がいい。


老いてゆく先のことを考えると不安にもなる。
でも、
今、できる「日」「日」のこと。
今、関われる「一人」「一人」とのことを
大切に積み重ねていこうと思った。


P.S
原田美枝子さん
好きだった作品
「家宅の人」緒形拳さんの はつらつとした愛人役。
     「さよなら」ときっぱり別れてゆく場面が印象的だった。
「眠りの森」(木村拓哉主演)アダルトチルドレンの真犯人(仲村トオル)の
     幻想の中の母親。セリフはないのに不気味な印象だけが残る
「折り梅」こちらは認知症の義母(吉行和子)を介護する嫁。
     心情がリアルに演じられた。
先の朝ドラ「ちむどんどん」のオーナー 
      年輪と経験を積んだ目尻のしわが魅力的だった。

『日日是好日』



「読んでから観るか。観てから読むか」


このブログのひとつのテーマなのですが、
ブログの題にもさせてもらった『日日是好日』(新潮文庫)は
先に読んでいた好きな本でした。
お茶の心得はまったくありませんが、
映画化された時、お茶の先生役が、長年のファンである樹木希林さんなので
すっ飛んで観に行きました。


その後DVDでもう一度観ました。
2度目観て、じわっと沁みこんできた。という感じです。
希林さんが亡くなった後だったからかもしれません。


聴雨 「雨の日は、雨を聴く」p216


が好きです。映画のなかでも雨の音が聴こえてくるような気がしました。


「悪い天気」なんて存在しない。(毎日がよい日)p218


毎年、同じことを繰り返しても、決して同じではない。
むしろ、同じことを繰り返せる幸せ。
よい時も、悪い時も、どの日も同じ日はない。
人生にとってかけがえのない1日。


今までもそうだったのだけれど、
ばたばた過ごしてきてしまいました。
定年後のこれから、よいことも、悪いことも
丁寧に受けとめて暮らしていこうと
ブログの題にさせてもらいました。


ps
希林さんには数々の名作がありますが、
数10年前の「先生のお気に入り」
というドラマで、「芸術高校の国語の先生」 という役が大好きで、
あんな迫らない国語の先生になりたいと思っていたことです。